皆さんは家の掃除をするとき、なにを使っていますか。ぞうきん?水?掃除用洗剤?いろいろあると思いますが、実は今、話題を集めている清掃方法があります。それは、エタノールを使って掃除することです。
エタノール、手を消毒する際に使ったり、化粧コスメなんかによく配合されたりする液体のことです。そんなエタノールは掃除のときにも大活躍します。その理由ってなんなのでしょうか?どうやって使うのでしょうか?
目次
2種類のエタノールで掃除がもっと楽になる
普段、あなたが掃除をおこなう際は、水拭きや掃除機をかけることが多いのではないでしょうか。ですが、水拭きの場合だと、表面上の汚れは取れても除菌や消毒効果は全くありません。
それどころか、菌に水分をあたえてしまうことにより、拭いた箇所がさらに雑菌まみれになるおそれもあります。水拭きって見た目ほどきれいにはならないのです。もちろん、掃除機にも除菌や消毒効果はありません。
ですが、手の消毒などに使われているエタノールは違います。エタノールを使えば消毒や殺菌効果を発揮し、清掃箇所を清潔に保ってくれます。それだけでなく、掃除道具を運搬したり、毎回ぞうきんを絞ったりといった作業がなくなり、時間も負担もかなり減ります。
そして、エタノールは掃除用洗剤と値段もそれほど変わらないうえに凡庸性が高く、子供に対する安全性も高いのでもおすすめポイントのひとつです。また、水と違い電気をいっさい通さないので、パソコンなどの電子機器の掃除にも使えます。
エタノールのメリットを簡単に挙げただけでもこれだけ出てきます。一度エタノールを使えば、あなたもエタノールに病みつきになること間違いなしです。
そもそもエタノールとは?
もともとエタノールとはアルコールの一種です。つまり、水に比べて揮発性(蒸発のしやすさのこと)が高い液体ということです。エタノールの特徴は、油に馴染みやすく蒸発もしやすいので、油汚れを落としやすいことです。
また、油汚れに強いだけでなく、水分をほとんど含んでいないために電子機器にも使えます。一方で、化粧品コスメに使用されるほど安全性も高い。
このように、エタノールは高い万能性を有しています。そして、このエタノールには無水エタノールと消毒用エタノールの二種類に分けることができます。
無水エタノールと消毒用エタノールの違い
無水エタノールと消毒用エタノールの違いは一言でいうと「エタノール濃度の濃さ」です。無水エタノールはエタノール濃度99.5%以上であるのに対し、消毒用エタノールは80%前後です。
ちなみに、なぜ消毒用の方がエタノール濃度が低いのかというと、あまりに濃度が高すぎると消毒や殺菌をする前にエタノールが蒸発してしまうことが理由です。消毒用は精製水(不純物を取り除いた水)をあえて加えて、エタノール濃度を低くしているのです。
もしあなたが自分の拭いた箇所に消毒や殺菌効果を求めるなら「消毒用エタノール」を使ってください。一方で電子機器や、用途ごとに自分で希釈して薄めて使えるなどといった凡庸性を重視するのであれば「無水エタノール」を使いましょう。
エタノールは活用方法がたくさん
ここでは無水エタノールと消毒用エタノール、この二つのエタノールを使用できる場所を書いていきます。これらを理解して効率よくエタノールを使いこなしていましょう。
無水エタノールで掃除できる場所
【電子機器】
水分がほぼないので、水分NGなモノに対しても安心して使用できます。
【ガラス製品など拭いた跡が残ると困る備品】
無水エタノールは揮発性が高いので、跡が残りにくいです。
【油性マジックなどの油性の汚れ】
油を浮かせて簡単に汚れが取れます。
【電子レンジ】
油性マジック同様に油汚れを浮かせて拭き取ります。
消毒用エタノールで掃除できる場所
【押し入れ】
押し入れなどジメジメしやすい箇所のカビ対策と消毒効果が期待できます。
【お風呂場やトイレ,流し場などカビが発生しやすい場所】
黒カビなどを取り除いた後に消毒用エタノールを吹きかけておけば、菌を完全に死滅させることができ、カビの予防策にもなります。
【服や靴の抗菌・除菌・殺菌に使用できる】
汗の汚れやカビなどの菌に対して高い効果を発揮します。
エタノールを使ってはいけない場所
【フローリングの床などワックスが使われている箇所】
エタノールの効果でワックスも油汚れと一緒に落としてしまうからです。
【アクリル製品】
アクリル部分が白く濁ってしまいます。場合によってはヒビが入り割れてしまうこともあります。要注意です。
【火気を扱う場所】
エタノールは引火性が非常に高いので、ガスコンロなど火を扱う箇所では使わない方がよいでしょう。
【発泡スチロールと革製品】
変色のおそれがあるので使用は避けましょう。
場所ごとに解説!エタノールを使った掃除の手順
また、エタノールを使う際も手順があります。いくら万能的なエタノールでも正しい手順と方法でやらなければ効果が半減してしまうからです。それではわざわざエタノールを用意した意味がありません。
ここではエタノールを使用する際の正しい手順を場所ごとに紹介します。また、注意事項もまとめて記載していきますのでぜひ参考にしてみてください。
冷蔵庫
普段あまり掃除する機会がない冷蔵庫ですが、食べ物を保管する場所ですので可能な限り掃除をおこなうのがよいでしょう。
【用意するもの】
- 消毒用エタノール(プラスチック対策に石鹸か掃除用洗剤を準備しておくとよい)
- スプレーボトル
- スポンジ
- キッチンペーパー
- 拭き取り用ぞうきん
- ゴム手袋
【手順】
まずは冷蔵庫のプラグを抜きます。時間をかけてじっくりおこなうのであれば、食材を風通しがよく涼しい日陰に置きましょう。クーラーボックスなどに入れるとよいかもしれません。
仕切りやガラス板を取りはずし、床に置いてからアルコールを吹き付ける。仕切りがプラスチック製だった場合はエタノールは使わずに、石鹸か掃除用洗剤を使用しましょう。
そこまで汚れていないときは取り外さずにそのままおこなっても大丈夫です。もし、ウスターソースなどがこびりついて取れなくなっているときは、キッチンペーパーにエタノールを染み込ませてそれを対象箇所にかぶせて放置してみてください。
すると汚れが柔らかくなり落としやすくなります。放置しているあいだは他の箇所を掃除して効率よく進めていきましょう。野菜室には目に見えるような大き目のゴミが落ちていることも多くあります。そういったごみを手で拾ってから作業を進めてください。
また、手で拾えない小さなごみはぞうきんでまとめてぬぐい去り、こびついた汚れは先ほどと同じ方法で落としましょう。その後は各箇所に仕上げのエタノールを吹きかけ菌を死滅させれば完了です。
最後に、冷蔵庫の外側や上もアルコールを吹き付けてぞうきんできれいに拭きましょう。これで、内側も外側もピカピカになりました。冷蔵庫はこれで完了です。次はお風呂です。
お風呂
お風呂は水をよく使う場所なのでカビが頻繁に発生してしまいます。そんな場所こそエタノールの出番です。実は、エタノールにはカビを防ぐ効果もあるのです。
【用意するもの】
- 消毒用エタノール
- タオル
- スポンジ
- クイックルワイパーなど天井を拭く際に役立つ棒状のもの
- キッチンペーパー
【手順】
まずお風呂場の換気扇をつけて室内をしっかり乾燥させます。そのあと、室内の残った水気をタオルで拭き取ってください。というのも、水気がある状態でエタノールを使っても、その水分の影響でエタノール濃度が薄まってしまい効果が減少するからです。
水分はしっかり取り除きましょう。これは天井にも言えることです。お風呂場の水分をすべて拭き取ったら、クイックルワイパーの先端に取り付けたキッチンペーパーにエタノールを吹き付けて天井を拭いていきましょう。
こういった道具があれば時間を大幅に短縮できます。できれば用意をしましょう。また、エタノールは揮発性が高く、すぐに気化して室内に充満する特性があります。ですので、作業をおこなう際は、必ず窓を開けるか換気扇をつけながら作業をしましょう。
あと、エタノールはあくまで予防策です。取り除ききれなかった菌を死滅させることには効果的ですが、黒カビを落としたい場合だと効果はイマイチです。黒カビを落とす場合は漂白剤や熱湯などを使いましょう。
ガスコンロ
エタノールは強烈な油汚れを浮かせて落とす効果があります。なので、油汚れがよく発生するガスコンロにエタノールはうってつけです。
ただ、エタノールは引火性が高いことによりに、ガスコンロで使用する際は、危険物質でもあります。取り扱いには細心の注意を払いましょう。
【用意するもの】
- 消毒用エタノール
- キッチンペーパー
- ぞうきん
- ゴム手袋
【手順】
ガスの元栓を切りましょう。エタノールは引火性が高くとても危険です。元栓の切り方がわからない場合は換気扇を必ず回しましょう。
次にキッチン回りの油汚れに移ります。キッチンでできた油汚れは器具にこびりついてなかなか落ちません。なので、そういった汚れには冷蔵庫のときと同様に、エタノールを吹き付けたあとにキッチンペーパーをかぶせてしばらく放置します。
そして、汚れが浮いてきたらぞうきんで拭き取っていきます。これをくり返していけばガスコンロは簡単にきれいになります。また、仕上げのエタノールの拭きかけも忘れないでください。
エタノールで掃除をするときの注意点
エタノールは凡庸性が高く、使いやすいぶん気をつけなければならない点もあります。きちんと確認してからエタノールを使いましょう。
しっかり換気をする
エタノールは室内にすぐ充満する気化性が高い物質です。なので、使用の際は必ず換気扇をつける、もしくは窓を開けて換気をしましょう。
火気のない場所で使用する
エタノールは揮発性だけでなく、引火性も非常に高い物質です。なので、火気のない場所で使用してください。また、ガスコンロで使用する際は火の元をしっかり閉じて作業をしましょう。
ビニール手袋を使用する
エタノールで浮かせた汚れは雑菌まみれです。また、エタノールは人体に対して安全性が非常に高いですが、同時に肌に対する刺激性も高いです。実は安全性と刺激性は別物なのです。
なので、手袋をつけずにエタノールを使用すると皮膚への刺激が原因で肌荒れを起こすこともあります。また、エタノールは揮発性が高いので、皮膚についた状態から蒸発するとその周りの水分も一緒に蒸発させるといった特徴もあります。
よって、肌荒れだけでなく乾燥肌を招く可能性もあります。エタノールを使用する際は手袋を必ず使いましょう。
それでも手に負えない汚れは……
今までに紹介した方法で落ちない汚れも、なかにはあります。その場合は洗浄力に特化させた清掃用洗剤などを使ってみましょう。それでも落ちない場合は、専門業者に相談をしてみてください。
エタノールに関する情報はもちろんですが、各汚れの弱点も教えてくれるかもしれません。また、掃除に関してわからないことや迷っていることがあれば、一度専門業者にきいてみましょう。きっと有益なアドバイスをあなたに教えてくれるはずです。